この記事は、エミュレータについて興味がある方へ向けた内容となっております。
レトロゲームブームが続く中、昔懐かしいゲームを現代のデバイスで楽しみたいと考える方が増えています。特に30代から50代の方々にとって、子どもの頃に夢中になったファミコンやスーパーファミコンのゲームを再び手軽にプレイできるエミュレータは魅力的な選択肢でしょう。
しかし、「エミュレータって違法じゃないの?」「ROMをダウンロードしても大丈夫?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。インターネット上には様々な情報が飛び交っており、正確な法的知識を得ることは容易ではありません。
本記事では、現役行政書士の立場から、著作権法の観点でエミュレータの合法性について詳しく解説いたします。法的リスクを避けながら、安心してレトロゲームを楽しむための正しい知識を身につけていただけるよう、分かりやすくご説明します。
エミュレータとは

エミュレータの基本的な仕組み
エミュレータとは、特定のハードウェア(ゲーム機)の動作をソフトウェアで再現する技術のことです。例えば、パソコンやスマートフォン上でファミコンの動作を模倣し、ファミコン用のゲームソフトを動かすことができます。
技術的には、元のゲーム機のCPUやメモリの動作、グラフィックスやサウンドの処理を模倣し、コントローラーの入力を変換、ゲームデータ(ROM)を読み込んで実行することで、エミュレータは処理を行います。
エミュレータ自体の法的位置づけ
エミュレータソフト自体は違法ではありません。エミュレータは独自に開発されたソフトウェアであり、既存のゲーム機のハードウェア仕様を解析・再現したものです。これは「リバースエンジニアリング」と呼ばれる技術で、一般的に合法的な開発手法とされています。
実際に、任天堂やソニーなどの大手ゲーム会社も、自社の復刻版ゲーム機において内部的にエミュレータ技術を使用しています。
エミュレータのどこに違法性があるか

ROMファイルの取得方法による違い
エミュレータの合法性を伝える上で、ROMファイル(ゲームデータ)をどのように入手するかというポイントを抑える必要があります。
合法な取得方法
自分が所有するゲームソフトからのダンプ
自分が正規に購入し所有しているゲームソフトから、専用機器を使ってROMデータを抽出する行為は、私的使用の範囲内として認められる可能性が高いです。ただし気を付けたい点として、元のゲームソフトを適法に入手していて、私的使用の範囲内に留め、他人に配布しない事が挙げられます。
公式に配信されているROM
ゲーム会社が正式に配信している復刻版やリマスター版のROMファイルを購入することは、当然ながら合法です。
違法となる取得方法
インターネットからの無断ダウンロード
最も注意すべきは、インターネット上に無断でアップロードされたROMファイルをダウンロードする行為です。これは明確に著作権侵害にあたります。
著作権法第30条三項では、「著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画」については私的使用であっても複製が認められないと規定されています。
友人からのファイル共有
友人や知人からROMファイルをコピーしてもらう行為も、複製権の侵害にあたる可能性があります。
違法なROM(ゲームデータ)の利用は、ウイルスの感染リスクを高め正常な動作を阻害する恐れがあります。エミュレータの危険性と一緒にまとめておりますので以下もご参考下さい。
刑事罰と民事責任
違法なROMダウンロードには、刑事罰と民事責任が伴うリスクがあります。刑事罰の場合は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(またはその併科)や法人の場合は3億円以下の罰金、民事責任としては損害賠償請求や差止請求が挙げられます。
近年の著作権法においての懸念点

近年のデジタル技術の発展に伴い、著作権法も段階的に改正されています。ここでは、エミュレータユーザーが注意すべき事を挙げさせて頂きます。
2020年改正著作権法の影響
2020年の著作権法改正により、「リーチサイト」規制が強化されました。これにより、違法にアップロードされたコンテンツへのリンクを掲載するサイトも規制対象となりました。
◆令和2年著作権法改正(一般社団法人日本著作権教育研究会のページより引用)
エミュレータコミュニティでは、ROMファイルの入手先を紹介する情報も存在しますが、これらの情報の利用にはより慎重になる必要があります。
侵害コンテンツのダウンロード違法範囲の拡大
従来は音楽・映像のみが対象でしたが、2021年1月から漫画・書籍・論文・プログラムなども違法ダウンロードの対象となりました。ゲームプログラムも当然この対象に含まれます。
国際的な著作権保護の強化とWIPO著作権条約の影響
世界知的所有権機関(WIPO)の著作権条約により、国際的な著作権保護が強化されています。日本国内でも、海外のゲームソフトについて同様の保護が適用されます。また、アメリカ、ヨーロッパ各国でも違法なROMサイトに対する取締りが強化されており、大手ROMサイトが閉鎖される事例が増えています。これに伴い、違法なROMファイルの流通も減少傾向にあります。
エミュレータ開発者への影響
近年、エミュレータ開発者に対する法的圧力も増加しています。特に現行機種のエミュレータ開発については、開発者への訴訟リスクや暗号化技術の回避に関する法的問題、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)テイクダウン通知の増加が問題になっています。
まとめ

エミュレータとROMファイルに関する著作権法上の問題について、現行法の観点から詳しく解説してまいりました。昔のゲームを現代の環境で快適にプレイしたいという願いは、多くの方が持つ自然な欲求です。しかし、その実現方法には法的な配慮が不可欠です。法的リスクを避けながら、懐かしいゲームとの再会を心から楽しんでください。
この記事以外にもゲームやPCに関する実用的な知識を紹介しておりますのでよろしければご一読頂けると嬉しいです。
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